夢見た幻の新作
大好きな漫画家さんがお亡くなりになった後、その方の新作を読んだ夢を見た経験はありますか?
経験がおありの方、「目が覚めたくない」と思ったりしませんでしたか?
これは、昭和と共にこの世を去った漫画の神様の、
夢で見た幻の新作です。
漫画の神様らしく、結構な長編で読み応えがありました。
夢見てる最中に「あ、これ夢だ。ホントは描かれてないんだ」と気づきましたが、懐かしさと目覚めるのが惜しいのとで、頑張って最後まで読みました。
大正(もしかしたら明治?)昭和・平成を貫く大河ドラマです。
最初は宝塚のようなロマン漂うファンタジーで、海の世界の少年がこちらの世界の少女と偶然出会い仲良くなるのですが、少年が帰れなくなるアクシデントが発生します。
激動の昭和・平らかでない平成を通し、少女の家族(子孫)達が少年を元の世界に帰すために奮闘します。(詳しくは下記参照)
目が覚めた時、作者不在の悲しさをおぼえました。合掌。
さて、あなたの想像(創造)したお話は、如何でした?
さよなら宝物
ちょっと詳しいストーリー
第一部:少女と少年
お大尽の御令嬢が、海辺の別荘で出会った少年は、実は別世界の住人でした。
海中でも息ができる、海で生きる一族(でも人魚ではない)でした。
最初は男の子と女の子ということもあり、ケンカもしたりしましたが、二人は次第に仲良くなっていきました。
少年の世界の海と、こちらの世界の海は、周期的に繋がらなくなるようで、しかも繋がる度に時差が広がるようで、少年は少年のままなのに、少女は出会う度にどんどん大人になっていきました。すっかり大人になった少女がおぼれかけた時、その元少女を助けた少年は、元の世界に帰りそびれて戻れなくなってしまいました。
第二部:少女の息子・孫世代
時代は工業化と戦争と公害の昭和。第一部の少女の息子が、時代に翻弄されながらなんとか少年を元の世界に戻す方法を探し続けていました。
少年は海水の中で冬眠状態におちいっていました。
厳しい時代のため、息子は少年を密かに眠らせておくだけで精一杯でした。
そのうえ工業化のため、かつての別荘地の海岸線が変わり、もし少年が目覚めたとしても、少年を悲しませるだけかもしれないと息子は苦悩します。
頑張っている息子の背中をじっと見つめる孫息子。昭和がおわります。
第三部:祖父と父と息子
第二部の孫の子供(第一部から数えて4代目)が、別荘地の土地の古文書を発見します。4代目は学者になっていました。
第二部の世代の人達が経済的に支えてくれて、海の少年を元の世界に戻す方法を探すことをライフワークにしていたのです。
少年を戻すことは、最早、家業になっていました。
そして、ついに方法が判明します。きっかけは頻発する地震でした。
古文書によると、実は別荘地は間欠泉が噴き出る土地でした。
ところが、その周期は100年を超えるため、昭和時代にそのことが忘れ去られてしまい、工業化によって地勢が変えられて、噴き出ることができなくなった間欠泉がたびたび地震を引き起こしていたのです。
祖父と父と息子は協力して間欠泉を噴出させ、そのエネルギーで少年の元の世界との繋がりを取り戻し、少年を元の世界に帰すことに成功します。
第三部の主人公はつぶやきます。「さよなら、僕の宝物」